京都地方裁判所 昭和46年(ワ)14号 判決
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〔判決理由〕(1) 逸失利益 〇円
<証拠>によると次のことが認められ、この認定に反する証拠はない。
(イ) 原告新納浩司は、本件事故により、同原告主張の傷害を受け、昭和四四年六月六日から同年一二月三〇日まで、二〇八日間同病院に入院した。そうして、同月三一日から昭和四五年三月一六日まで七六日間のうち三二日同病院に通院した。
(ロ) 同原告は、みぎ入院中、回腸部の穿孔のため開腹手術をうけた。その手術は、回腸部を約四〇センチメートル切り取つて吻合する手術である。このような腸吻合手術を受けた場合、便秘や下痢が交互にくることが多い。同原告にも、そのような症状がある。しかし、同原告は、これに対し、特別の治療を退院後受けていない。従つて、このことは重視する必要がない。
そうして、この便秘と下痢が交互に発生する症状が、同原告の将来、どの程度に出現し、そのため同原告の生活がどのように阻害されるのかは全く判らない。
(ハ) 同原告は、左大腿骨骨折のため昭和四四年六月三〇日観血的整復固定術を受け、化骨良好のため、同年一二月一五日抜釘術を受けた。
この化骨部分は、ふくれ上つて奇型をのこしているが、これによる発育障害、走行時跛行は、三、四年すれば消失するものと考えられる。
同原告のこの障害は、現在、下校後足のだるさを訴える程度であり、この大腿骨骨折が、同原告の就職や生活に与える影響を、現段階で正確に予測することはできない。
以上認定の事実からすると、同原告の後遺症と思われる腸吻合手術による便秘と下痢の交互発生、大腿骨骨折部の化骨による発育障害、走行時跛行が、同原告の将来の就労に及ぼす影響は、現段階では全く予測がつかない(同原告は、受傷時五歳である)。
同原告は、同原告が一八歳の就労時から満五六歳まで労働能力の二七パーセントを喪失したと主張しているが、上記のことに鑑み、一八歳から五六歳まで継続して二七パーセントを喪失するとすることは、現段階では困難である。従つて、同原告としては、満一八歳になつて、その時、この後遺症が就労に及ぼす影響が具体化したとき、その段階で、起訴することができるし、そうするのが、同原告のためである。
以上の理由で、同原告の逸失利益の請求を排斥する。
(古崎慶長)